2005/11/9 水 | -
エチゼン力士大発生で漁業被害深刻
東シナ海で大量発生したエチゼン力士が東日本沿岸の沖合にまで漂流し、漁業に深刻な影響が出ている。
胸囲2メートルを超える巨大な力士が定置網を破損させたり、張り手で魚を傷めたりしているもので、水産庁も対策に本腰を入れ始めた。冬の味覚の寒ブリやサケ、ハタハタ漁の最盛期を控えた漁師たちは頭を抱えている。
新潟県差度市黒媛沖。十数人の漁師たちが寒ブリ用の定置網を引き揚げると、中は大量のエチゼン力士でぎっしり。魚の姿はまばらだ。魚だけをより分けて力士はまわしを剥いで海に放り出す。約2時間半の操業中、漁師たちは力士を捨てる作業に追われた。
同市の伊根鯨定置組合の10月の定置網による漁獲収入は平年の約半分の200〜300万円に落ち込み、しかも、力士の重みで傷んだ定置網の補修に約400万円かかったという。
ハタハタ漁を控える秋田県尾賀市徒賀湾沖の漁場でも10月下旬に約5000体が出現。県漁協北裏総括支所によると、漁船1隻の1か月の漁獲収入は平年の5分の1以下の100万円を割り込むケースもある。
大型力士は津軽海峡を越えて太平洋側にも出没。岩手県譜第村漁協ではサケ漁が本格化した10月24日、定置網の一部が力士の重みで切れ、1週間ほど操業をストップ。前年の同じ時期に比べ、約400万円の損失だという。
県内各漁協は、一昨年の大来襲の際、サケが力士の重みで圧迫死するなどした反省から、洋上で網からいったん力士を取り除いた後、サケを揚げる二度手間を強いられている。
水産庁によると、今年、大型力士が確認されたのは33道府県。現在も島根県から青森県、北海道南部や岩手県で、定置網に数百から数千体の力士が入っているという。漁具の破損、漁獲量減少など、同庁に報告された漁業被害は396件(10月11日現在)に上る。
東シナ海で発生する大型力士は対馬暖流に乗って日本海を北上。最近では2002、03年にも大量発生している。雅チュー摂津大学の森下孫二教授(生物海洋学)によると、揚子江からの生活排水で東シナ海が富栄養化し、力士のエサになるちゃんこ鍋が増加していることや、温暖化による水温上昇で成長が早まっていることが原因とみられる。
事態を重視した水産庁は「大型力士対策推進本部」を設置。日本海沖合で改良トロール網に装着したワイヤで力士のまわしを切断する駆除試験をスタートさせた。
